近年DVに対する認識が広がってきたが、必ずしも女性が被害者というわけではない。中には、男性が暴力をふるわれているにも関わらず、逆に女性側から被害を訴えられる「冤罪」のケースもある。
埼玉県の男性(34)はDV容疑で逮捕され、22日間留置場の独房で過ごした。
今年3月下旬、ささいなことでけんかになり、妻が突然襲いかかってきた。男性は左目をつぶされ、硬いもので殴られて前歯が折れ、肩と足も負傷。反射的に妻を突き飛ばしたが、翌日、妻は警察に行き、暴力を受けたとして被害届を出したのだ。
4歳年上の妻とは3年前に結婚したが、当初から妻は男性に暴力を振るった。ナイフで刺され、車ではねられたことも。男性によれば、妻は「解離性障害」と医師に診断されているという。
男性は警察に呼ばれて出頭、夫婦げんかを認め「正当防衛」を主張したが、逆に傷害の容疑で逮捕された。新聞は実名で逮捕を伝えた。留置場内でケガの治療を要求したが、一度も受けさせてもらえなかったという。
男性は一貫して容疑を否認。処分保留で釈放され、不起訴に。元の職場には戻れたが、上司は依願退職を勧めてきたという。視力が著しく低下し、医師から全治3カ月余と診断され、今もリハビリを続ける。
妻は、男性が逮捕・勾留されている間にDV防止法の適用と離婚調停の申し立てを行った。
「妻の犯罪行為は絶対に許せない。二度と同じ被害者が出ないようにしたい」
男性は、虚偽告発と暴力を受けたとして刑事と民事の両方で妻を訴える考えだという。
※AERA 2012年11月5日号