私「落ちていたら?」

娘「もう一度やるしかないなあ」

私「やっぱり予備校だよね」

娘「そうなるなあ」

私「洋服はジーンズにTシャツかトレーナーだよね。おしゃれは必要ないよね」

娘「それはそうだよ。だって、落ちてるもんね」

私「アクセサリーなんかもなしだよね」

娘「当然いらないよね。だって、落ちてるんだから」

私「靴は、スニーカーだよね。おしゃれなサンダルとかはなしだね」

娘「当たり前だわ、だって、落ちたんだから」

私「とりあえず、合格発表の日はゆっくりしよう」

娘「賛成!」

私「その翌日から、勉強しよう。まず、何をする?」

娘「やるべきものは全部やったしなあ。まあ、手をつけなかった『名問の森物理』でもしようかな」

 会話をすると、だんだん気持ちが落ち着いてきました。不合格のときのことを考えるのは「縁起が悪い」と思っていましたが、このように心の準備をするのも悪くはないなと思いました。

 私が、娘と身なりについていろいろと話し合ったのは、模試で見かけた予備校生の姿に思うところがあったからでした。女の子が大学生のような服を着てヒールの高い靴を履いて、アクセサリーをたくさんつけていました。年頃ですから気持ちはわかりますが、それは人より後れをとって余分に学んでいる姿とは程遠いものでした。だから、そこは娘と再確認しておこうと思ったのです。

 受験生の未来に「幸多かれ」と願うのであれば、どのような過ごし方でもいいと思います。結果はどうあれ、親は動揺してはいけません。何と言っても、人生の先輩なのですから。

(構成/庄村敦子)

週刊朝日  2020年3月13日号