帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
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※写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「マイペースを守る」。

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【ポイント】
(1)養生の上でもマイペースは大事
(2)過不足のない中を守り、みずからの力量を知る
(3)忙中に閑、閑中に忙の心こそ必要

 マイペースという言葉があります。いわゆる和製英語で、「自分にあった進度で物事を行うこと」(広辞苑)をいいます。

 一般に「あの人はマイペースだ」といった場合、自分のペースで物事をこなす有能な人だという意味よりは、まわりを見ない協調性のない人だと非難するニュアンスの方が強いのではないでしょうか。

 しかし、人生も後半になれば、多少、協調性がないといわれようと、気になりません。そんなことよりも、残り少なくなった自分の人生を充実させることの方が大事です。

 本来、人間の体は自分のペースを守るようにできていて、それを乱さないことが重要だとも言えます。

 呼吸は1分間におよそ15回のペースで繰り返され、1日には2万1600回の呼吸をしています。この呼吸は一定のペースで繰り返されるからこそ健康が保たれるのです。呼吸が乱れ出したら、体調が悪い証拠です。意識しなくても2万1600回も同じペースで呼吸を続けるのですから、人間の体のマイペースはたいしたものですね。

 心臓の拍動もそうです。それがうまくできない疾患があれば、ペースメーカーを装着して、心拍を補助してあげる必要があります。

 ですから、養生の上でもマイペースは大事です。貝原益軒の『養生訓』にもマイペースにつながる教えがいくつもあります。

 ひとつは「過不足のない中を守る」(巻第二の42)というものです。

「養生の道は中を守ることだ」と言い切ったうえで、「中を守るとは過不足のないこと」と続きます。その例として「食べるのは空腹をさける程度でよい。これが中を守るということだ」と説明しています。食事でのそういうマイペースは大事ですね。最近、会食でも遠慮なくマイペースを守って体調がいいので、よくわかります。

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