2軍キャンプ3日目のシート打撃で左翼線二塁打を放つ石川昂弥。右は与田剛監督(C)朝日新聞社
2軍キャンプ3日目のシート打撃で左翼線二塁打を放つ石川昂弥。右は与田剛監督(C)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る
堂上直倫(右)とショートの守備練習をする中日の石川昂弥(C)朝日新聞社
堂上直倫(右)とショートの守備練習をする中日の石川昂弥(C)朝日新聞社

 ドラフト1位ルーキーの中日・石川昂弥(たかや)の株が急上昇している。

【写真】堂上直倫とショートの守備練習をする中日の石川昂弥

  キャンプは2軍スタートだったが、フリー打撃では他の選手も目を見張る飛距離でサク越えを連発。1年前に黄金ルーキーとして注目された先輩の根尾昂、ロッテの藤原恭大は金属から木製バットへの対応に苦労したが、石川昂は下半身主導で体の軸がぶれない打撃フォームから並外れたスイングスピードで順応している。2月16日の打撃練習中に左肩を痛めたものの軽症で、首脳陣をほっとさせた。

 対外試合デビューを飾った7日の練習試合・沖縄電力戦では、三回に右越え適時二塁打。この試合を観戦した他球団のスコアラーは驚きを隠せなかった。

「パワーヒッターだけど、力だけじゃない。懐が深くて逆方向にも飛ばせる技術がある。清原(和博)さんにそっくりだと感じました。まだ何試合も見ているわけではないので評価は難しいですが、打撃だけで言えば現時点で根尾より上だと思います」

 清原氏は西武時代の高卒1年目に打率3割4厘、31本塁打と衝撃の数字を残すなどプロ通算525本塁打を放った。希代の長距離砲と打撃スタイルが重なると言わしめた石川昂は1年目から大物の雰囲気を漂わせている。

 スポーツ紙の番記者はこう分析する。

「礼儀はしっかりしていますが、マイペースですね。キャンプの練習を見ていても一生懸命やっているのだろうけど、どこか余裕を感じる。怠けているとかではなく、メリハリをつけるのがうまいんでしょうね」

 高卒の長距離砲を育てるのは難しい。ヤクルト村上宗隆は2年目の昨季36本塁打とブレークしたが、同じく2年目の日本ハム・清宮幸太郎は故障の影響もあって7本塁打にとどまった。「東の清宮、西の安田」と評価が高かったロッテの安田尚憲も昨年は1軍出場なし。もちろん、清宮、安田はこれからの選手だ。石川昂も同様に1年目は2軍でじっくり経験を積んでから1軍デビューという公算が高い。

 ただ、前出のスコアラーはこの方針に異を唱えた。「石川昂はオープン戦から1軍で使ってほしいですね。もちろん、高校とプロでは直球、変化球のキレとレベルが全然違う。壁にもぶつかると思います。ただ、高い水準のレベルを経験させることが大きな財産になります。結果を残せば開幕1軍、開幕スタメンの可能性も出てくる。これだけの選手はなかなかいないのでどう育てるか楽しみですね」

 怪物は最速163キロ右腕のロッテ・佐々木朗希だけではない。高校通算55本塁打の長距離アーティスト・石川昂も要注目だ。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事