私が西武監督時代の1999年に高卒ルーキーだった松坂大輔の春季キャンプ1軍スタートを決めたが、彼は体も頑強だった。2月10日くらいまで見ていたのは、プロのキャンプの強度にどれくらいついてこられるかだけだった。投球なんてほとんど見ていない。プロで戦う体力があることがわかり、初めて開幕ローテーションに入れるかどうかを検討しはじめた。
佐々木にしろ、奥川にしろ、今年は「育成」が主眼になる。開幕1軍という意識は首脳陣にないだろう。ならば、キャンプで急に強度を上げるようなアピールの必要はない。
1軍スタートの佐々木であれば、1軍投手のブルペンでの仕上げ方を見るだけで参考になる。2軍スタートの奥川なら、プロに入って2、3年目の若手がどれだけの強度で練習を行っているかを見て感じるものがあるはずだ。
私は2月上旬に宮崎に行く予定にしている。西武に復帰した松坂大輔がどんな調整をしているかを見るのが楽しみだ。ブルペン投球を見なくとも、キャッチボールの強度や質で彼の状態はわかる。今年の開幕は3月20日と早く、肩とひじに不安のある大輔がそこに無理に合わせようとすると、故障のリスクは高まる。本人がどのように考えているかを含めて、話を聞いてみたいと思っている。
※週刊朝日 2020年2月7日号