文科省は医学部の不正入試が発覚した私立の8大学については、私学助成金の減額をしている。元理事長と元学長が贈賄罪で起訴された東京医科大は全額不交付で、順天堂大や北里大などは25%の減額となっている。聖マリアンナ医科大についても、これから減額を検討するが、簡単ではなさそうだ。

「ほかの大学は自ら問題を認めており、それに基づいて減額しています。日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会でこれから議論しますが、聖マリアンナ医科大があくまで認めない場合どうなるかはわかりません」(文科省の担当者)

 萩生田文科相も大学の動きを見守る考えだ。

「こちらから外的な要件で、黒だとか白だとか決める性格のものではない。大学側が真摯に第三者委員会の決定を踏まえて、もう一度内部でしっかりとした話し合いをして、その説明を我々も聞いて合理性を確認した上で方向を考えていきたい。文科省が時間を切ってプレッシャーを掛けて返事をよこせというよりは、大学の自主性を尊重しながら方向性を示してもらえると期待している。人の命を預かる人材育成をする学校なので、世間から見て『なるほど』と理解できるような説明ができなければいけない」

 文科省も大学側の“開き直り”には、苦慮しているようだ。

 大学側は再発防止はすでにしていると強調するが、第三者委の結論を受け入れないままでは信用しにくい。このままうやむやにすれば、公的な存在である私立大学医学部としてのあり方が問われる。

 医学部入試に詳しい教育情報会社「大学通信」安田賢治常務は、こう指摘する。

「医学部における女子差別の問題がクローズアップされたことで、聖マリアンナ医科大を含め、女子の合格者が増える傾向にあります。これまで男女で合格者数に差があったこと自体がおかしかった。どこの大学も入試のやり方をきちんと見直し、差別をなくしていくことが求められています」

 医学部では国立を含め、筆記試験だけでなく面接や志願票・調査書を重視しているところが目立つ。面接や志願票・調査書は客観的な点数をつけにくく、「ブラックボックス」になりやすい。今回の聖マリアンナ医科大のケースでも、その危険性が改めてわかった。

 過去を直視せず、うやむやにするような大学では、本当に差別をなくすことができるのか。大学側の自浄作用が期待できないのであれば、私たちがチェックしていくしかない。(本誌・岩下明日香、多田敏男)

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