新川崎雲山堂では3カ月に一度、お坊さんにお願いして仏壇や仏具の合同供養祭を行っている。
「年間60件ほどですが、うちで購入した仏壇ではないものがほとんど」
と、青地さんは苦笑する。費用は持ち込みならば、小さいもので1万2千円。
神棚や神道の仏壇にあたる祖霊舎を相談された場合は、神主に供養をお願いする。
もちろん、処分以外の選択肢もある。
自宅の洋間に合わない、大きすぎる。しかし、受け継いだ仏壇も大切に残したい──と願う人には、仏壇リメイクという方法がある。
新川崎雲山堂では、元の仏壇の一部を用いて新しい仏壇をつくっている。上の2枚の写真は、実家を処分するにあたり父親の位牌を置いていた仏壇を、長女と長男がそれぞれの自宅に置けるように小型にリメイクしたものだ。
父親の位牌を30年以上納めた仏壇は、二人にとって大切なもの。仏壇の心だけでも残したいとリメイクを決めた。
費用は、長男がやや大きめの高さ60センチの仏壇を選び20万円。長女は、高さ43センチと小ぶりの仏壇で17万円ほどだった。
手元供養品メーカー「インブルームス」が2013年に2人以上の世帯に暮らす30~60代の600人に行った調査によれば、仏壇を持っていない世帯が6割に上った。
それでも仏壇を置くスペースがない、という人には、さらにコンパクトな仏具も出てきている。高さ9センチほどの木製のミニ骨つぼや、ミニ骨つぼを収納した写真立てや骨を納めるジュエリー、洋間に調和するおしゃれなミニ仏壇が販売されている。
前出の全日本仏教会の奈良さんは、こうアドバイスをする。
「仏壇を守っているご本人が亡くなってからでは、不本意な形で処分されてしまう場合もあります。仏壇を供養して処分したいのか、子どもに引き継がせたいのか。または、お位牌だけを小さくまとめて居間などに置いてもいい。元気なうちに、自分の気持ちに沿った『仏壇じまい』を行ってください」
(本誌・永井貴子)
※週刊朝日 2019年12月27日号