共通テストを巡り、東大への”圧力”発言、教育界に改憲への協力要請をするなど、何かとお騒がせの自民党の選対委員長、下村博文元文科相。
問題の発言は4月13日に自民党本部で開催された教育再生実行本部の会合の席であった。本誌はその会合の録音データを入手。
分析した結果、下村氏は出席者の議論がほぼ終了した終盤に6分ほど、持論を展開していた。
英語の民間試験導入に前向きな下村氏は「(民間試験を)やらないと言っている、東大」「文科省は東大をよく指導して頂きたい」と述べた。
そして、後半では改憲への協力要請発言が飛び出していた。
「自民党は憲法改正の4項目に教育を入れたんですね」といい、「公の支配」に属しない教育、宗教団体などへの公金支出を禁止している憲法89条と私学助成の関係について「誰が見ても違憲ではない形で改正したい」と強調した。
その上で「教育の無償化」など教育環境の整備を加えた26条改憲案にも触れ、「26条についても具体的なことも含めて書き込みました。ぜひ、これが進むように、憲法改正に向けてなお。お力を賜りますことをお願い申し上げます」と要請した。
自民党改憲案は現在の26条1項、2項はそのまま残し、「経済的な理由で教育上の差別されない」という3項を加えるとなっている。事情に詳しい自民党議員はこう話す。
「会合に参加していたのは、大学の教授など教育関係者、文科省などです」
そんな中で、教育界への介入ともとられかねない危うい発言だった。
「あの会合には、私学学校の連合会会長などが出席していた。下村氏の改憲協力発言は私学への利益誘導のためと見られる可能性もある。言いすぎじゃないかと党内でも疑問視する声が出ていた。下村氏は改憲推進本部長だったこともあって、憲法改正の話になるとつい前のめりになってしまう。7月にも憲法改正で野党と大連立のような発言もあったしね…」(前出の自民党議員)
下村氏は発言は認めているものの、東大や教育界への圧力などは否定している。(本誌取材班)
※週刊朝日オンライン限定記事