背任の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金だ。

いずれも量刑は思いのほか軽いようにも感じられるが、これらに抵触した場合、やはり政治責任は重いと見るべきなのだろうか。

「そりゃそうです。犯罪ですから」(山下弁護士)

 野党は12月9日までの国会会期を見据えて攻勢に出ようとしているが、会計の専門家の一人がこう指摘する。

「野党は国会を通じて、ニューオータニに受注票や、前夜祭の収支計算書を提出させる必要があります。ホテル側の責任者を証人喚問することも視野に入れないと、実態は明らかにならないと思います」

 ホテルニューオータニの広報担当者に改めて前夜祭の明細書などを公表する予定はあるのかと問い合わせると、次のように答えた。

「ニューオータニではお客様の情報については、外部の方に公開する予定はございません」

 ならば、主催した安倍首相の事務所側から出すよう頼めばいいだけのことだ。

 一方、かつての外務省の公金流用事件のように、プール金で補填した可能性についてホテル側に聞くと、

「今回とは別個の案件になりますので、ご回答は差し控えたいと思います」

 と言うのみだった。

 安倍首相は森友・加計問題をはじめあまたの疑惑にまみれながらも逃げ切り、総理の椅子にしがみついてきた。「政治とカネ」の問題をめぐっては何人もの閣僚のクビを切ってきたはずだが、もはや責任の取り方すら忘れたのだろうか。(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日オンライン限定記事

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