市民団体「税金私物化を許さない市民の会」が安倍晋三首相を東京地検に刑事告発したのは、11月20日のことである。
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告発状によれば、国の予算で首相が毎年開催する「桜を見る会」で、安倍首相が地元後援者約850人を招いて酒食を提供したことは、公職選挙法違反の疑いがあるとしている。さらには、ホテルニューオータニで開かれた前夜祭で、1人5千円の会費を徴収してホテル側に支払ったのに、政治資金収支報告書に記載しなかった。従って、政治資金規正法に抵触すると主張している。
市民団体の代理人を務める山下幸夫弁護士が指摘する。
「『桜を見る会』と前夜祭が組み込まれた東京観光ツアーは、『安倍晋三後援会』名義で呼び掛けられたものです。ですから、後援会活動の一環として行われたと見るのが自然です」
山下弁護士はこうクギを刺す。
「『桜を見る会』の本来の趣旨は、各界で功労・功績のあった方々を慰労するというものです。そうであるならば、通常なら参加できない選挙人を招待することは、安倍首相が財産上の利益を供与したことになると考えられます。投票や、選挙運動をしてくれたことに対する報酬として行われたのだから、事後買収罪に当たります」
公選法では、買収に対する罰則は4年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金だ。
ホテルニューオータニでの前夜祭も疑惑だらけだ。安倍首相は「明細書などの発行はなかった」「後援会としての収入、支出は一切なく、政治資金収支報告書への記載は必要ない」などと主張する。会場の受付で事務所の職員が参加者から現金5千円を受け取り、ホテルが発行した領収書を手交したと説明。受け付け終了後に全額をホテルに渡し、あくまで集金業務を代行したに過ぎないと言い張っている。
山下弁護士が解説する。
「ニューオータニほどのホテルが、実際にお金を受け取っていないのにホテル名義の領収書を渡すことはあり得ないと思います。渡された領収書の総額に見合うお金が、安倍事務所からホテル側に前もって支払われたはずです。その後、実際に参加者から受け取ったお金の総額が収入になるはずです。この『収入』と『支出』の両方を収支報告書に書かなければなりませんが、実際には記載されていないため不記載罪が成立します」