東京・渋谷といえば「若者の街」が定番イメージ。ところが、この秋、三つできる商業施設のうち二つが「大人」を集客のターゲットにした。イメージを新たにしたいほか、大人世代の旺盛な消費力に期待する面もありそう。思惑どおり大人を集められるのか──。
11月1日、東京・渋谷駅直結・直上にオープンしたばかりの大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」の、東急出身の高秀憲明社長が言う。
「このビルは、(渋谷駅に乗り入れている)JR東日本、東京メトロ、東急の3社でつくったものですが、私たちの思いは共通しています。渋谷というと『若者の街』といわれてしまいますが、そうではなく、いろいろな世代のいろいろな世界のお客さまをお迎えしたいのです」
地上47階、地下7階建てで、延べ床面積約18万1千平方メートル。渋谷エリアで最も高い約230メートルを誇る。現在、渋谷駅周辺では「100年に1度」といわれる再開発が進んでいるが、規模といい高さといい、再開発ビルの中でも群を抜く存在だ。高秀社長は、
「渋谷のシンボルになるビルだと自負しています」
まさにこれからの渋谷を象徴する存在になりそうだが、そのリーダーが「渋谷=若者」との見方に強烈なアンチテーゼを唱えるのだ。
「若い人向けではない街づくりは、これまでも着実に行ってきました。東急百貨店本店の横にあり、様々な文化イベントを催す『Bunkamura』、渋谷ヒカリエの本格的なミュージカルホール『東急シアターオーブ』などです。その流れを、このビルでさらに確かなものにしていきたい」(高秀社長)
渋谷スクランブルスクエアのキャッチコピーは「大人も楽しめる渋谷」。商業エリアには値段が高めのラグジュアリーブランドやレストランもテナントに入り、屋上には360度のパノラマビューを楽しめる展望施設がある。
スクランブルスクエアを含めて、この秋、渋谷には三つの大規模商業施設ができる。