>>参議院はこちら (週刊朝日2019年12月6日号より)
今回、「桜を見る会」の問題を炙り出したのは、国会質問だった。11月8日、参院予算委員会で田村智子議員(共産)が「安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問します」と切り出し、安倍首相に照準を定めたのが始まりだ。
報道陣のぶら下がり取材にだけ答え、安倍首相は国会から「逃亡」を図ろうとしている。情報を収集して国会質問に生かすという議員活動の重要さが改めて照らし出された形だ。
政府の監視活動を目的とするNPO法人「万年野党」の協力を得て、前の通常国会(1~6月)における“ワースト国会議員”ランキングを作成した。議員活動の柱である質問、議員立法の発議、質問主意書の提出がいずれもゼロという「トリプルゼロ議員」をリストアップしたところ、衆参両院合わせて96人にも上った。
与党である自民党が大半を占めるのは予想どおりとはいえ、万年野党の理事で経済ジャーナリストの磯山友幸氏はこう指摘する。
「政府と与党は一体なので、国会に法案が出てくる段階で、与党内の議論は終わっているから国会質問は少なくてよいという理屈です。自民党の場合は政務調査会で議論しますが、基本的に密室で決めてしまっています。しかも、政府与党が圧倒的多数を握っていることもあって、法案審議がおろそかになっています。国会での質疑をもっと重視するべきです」
今国会で閣僚辞任した菅原一秀前経済産業相や河井克行前法相のほか、小渕優子元経産相、松島みどり元法相ら「政治とカネ」絡みで事実上更迭された面々が名を連ねる。また、塩崎恭久氏や加藤勝信氏ら安倍首相の「お友だち」、安倍1強の風に乗って当選してきた3期生以下もちらほら目につく。
今回、政治ジャーナリストの野上忠興氏と角谷浩一氏に見解を求めるとともに、安倍政権の現状を分析してもらった。
「権力は長期化すると腐敗していきます。いま、安倍政権は何をしても許されるというおごりと緩みが顕著になっています」