国会は立法の府。議員立法は議員の重要な役割のはずだが、万年野党の調査によれば大幅に減少した。議員立法に関わった「発議者」に名前を連ねた回数は延べ180回で、1年前の256回から激減している。
野上氏は「昔とちがって目の付けどころが見つからないのだろうが」と前置きしたうえで、こう指摘する。
「政府といえども万能ではないのですから、政策の足らざるところは与党であっても議員立法でアシストするという方法があってもいいはずです」
かつて、三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫の各氏の「三角大福」がしのぎを削った時代は、若手議員を育てるために国会質問もツールとして多用していた。野上氏が説明する。
「同じ選挙区で複数の自民党議員が立つ中選挙区時代は、お互いが切磋琢磨(せっさたくま)し、政策力も磨ける環境にありました。小選挙区制下のいまは自由闊達(かったつ)な討論がなくなり、“自民党らしさ”が失われています。いま、トップがお友達人事をくり返しているわけですから必然の流れでしょう。こんな忖度やヒラメ議員がはびこるような体たらくな政治をしていたら、以前なら派閥の会合で糾弾の声が上がっていたはずですが……」
安倍首相の通算在職日数は11月20日、明治・大正期の桂太郎内閣を抜いて憲政史上最長となった。しかしこの間、森友・加計問題、自衛隊日報隠し、毎月勤労統計不正、「桜を見る会」など、疑惑が次々に浮上した。地位は人を作るというが、安倍首相の場合は当てはまらないらしい。(本誌・上田耕司、亀井洋志、吉崎洋夫/今西憲之)
※週刊朝日 2019年12月6日号
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