野上氏はそう語ると、リストを見ながら次のように続けた。

「安倍首相は自分の敵か味方かを峻別(しゅんべつ)するタイプですから、国会質問や質問主意書の提出など目立つようなことはしたくないという損得意識が、このリストの面々から透けて見えます」

 物言えば唇寒しということか。安倍首相に遠慮したり萎縮したりした結果といえそうだ。一方、質問時間があえて割り振られていないように見える議員もいる。角谷氏がこう話す。

「安倍首相の国会答弁や政治手法に苦言を呈している石破茂氏や村上誠一郎氏、改憲問題で自重を求めた船田元氏らは、与党内野党の人たちですね。この人たちに質問させたりすると、政権批判をしかねません。予算委員会が彼らに質問させないようにしている部分もあります。わざわざ質問主意書なんか提出すると、自ら党内反主流派を宣言するような雰囲気になってしまっています」

 政府は、2017年の特別国会で与党に質問時間をもっと回すように要求。与野党の質問時間の配分を従来の「与党2対野党8」から野党に大幅な削減を求め、「3対7」にした経緯がある。それだけに、角谷氏が厳しく批判する。

自民党は質問時間の配分が不公平とか言いながら、実際に質問に立つと時間が余って般若心経を唱え始めた議員もいました。中堅クラスでは、『総理、いつもご苦労様です』とこびへつらう議員もいる。素晴らしい回答を頂きまして、などとおべっかを使うのに時間を費やしている始末です」

 要は、安倍首相が森友・加計問題などで野党に一分一秒たりとも追及されたくないというのが本音。そのことは、野党が予算委員会の開催を求めても与党側がまったく応じようとしなかった姿勢にも表れている。

「今回の『桜を見る会』の問題でも、予算委員会の開催要求を拒み続けています。それなのに、安倍首相は『世界で最も多く国会の質問に応じている』などと言って、やっている感を誇示しています。税金を使った国の公的行事を私物化しながら、国会議員の活動さえも安倍首相が縛っていることになります。やましいことがないなら、野党の要求を受けて立ち、説明責任を果たせばいいだけです」(野上氏)

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