今回のように夜に発表された結婚の報など、20年前までは翌朝のスポーツ紙か朝刊のラテ欄、もしくは『めざましテレビ』を観るまでは知る術などありませんでした。それが今やネットによって24時間営業状態に。しかもそれらの情報に、本来はもっと漠然としていたはずの巷の声や意見めいたものまでが付いてくる。学校や会社で、もしくは誰かからの電話で、時間差で入ってきたビッグニュースに際して「ウッソー! マジでー!」と仰天し、右往左往するだけの昼下がりや深夜はもうありません。瞬時に共有され拡散され、方向性や論調までもが形成されていってしまう世の中。それらを察しての「大丈夫かな?」なのでしょう。なのに5分もすれば「でも考えたらニノも36歳だもんね。結婚したって大丈夫だよね」などと落ち着く若者たち。だから何が「大丈夫だよね」なのでしょうか。
私はそれより、最近CMで櫻井翔さんが「僕の妻は……」と唐突に語り出す方がドキッとします。設定とは言えCMで嵐に「所帯持ち感」を課すのは難儀かと。
※週刊朝日 2019年11月29日号
【週刊朝日編集部からのお知らせ】
いつも『アイドルを性(さが)せ!』をご愛読くださり、ありがとうございます。この連載は2016年5月から週刊朝日で始まりましたが、このたび書籍化して、単行本『熱視線』(本体価格1400円)として発売されました。連載の内容を大幅に加筆修正し、ミッツさんご自身が描いているアイドルの似顔絵(AERA dotでは未掲載)も収載しています。装丁にもこだわりました。毒と愛を込めて作った一冊です。ぜひ、紙の本でじっくり味わってお楽しみください!