ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する
ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する
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嵐も登場した国民祭典。この数日後にメンバーの二宮和也さんの結婚が発表された (c)朝日新聞社
嵐も登場した国民祭典。この数日後にメンバーの二宮和也さんの結婚が発表された (c)朝日新聞社

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、先日結婚を発表した嵐の二宮和也さんを取り上げる。

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 嵐の二宮和也さんが結婚を発表した某夜。私は、20代から40代までの男性・女性・オカマを含む5~6人のタレントやアスリートたちと飲み食いをしていました。何となしに誰かが覗いたスマホ画面に「ニノ結婚」の文字を見つけ、どこぞの素人かと思うぐらい大騒ぎになったわけですが、とりわけ20代連中の反応が凄まじかった。開口一番「ニノ結婚って、大丈夫なのかな?」と呟いていたのが印象的でした。

 今や、人気者の結婚は「おめでとう」よりも「大丈夫?」という感情が先走る。そんなご時世なのかもしれません。この「大丈夫?」には、「熱狂的なファンがネットで騒ぐのでは?」や「事務所と不穏が生じているのでは?」など裏事情を勝手に案じる「余計なお世話要素」が多分に含まれています。一億総芸能リポーター化です。しかもかなり「私、知ってます」風な。ネットを通して、即時性の高い詳細な情報、さらにそこに集う様々な角度からの感情に囲まれている内に、純粋に驚いたり祝福したりする感覚が失われつつあるのだとしたら、それはそれでちょっと寂しいものです。

 昔ながらの「国民的電撃&衝撃」を与えてくれる結婚がだいぶ少なくなってきたとは言え、今年は「山里亮太さんと蒼井優さん」、「小泉進次郎さんと滝川クリステルさん」という、まさに電光石火のビッグサプライズがありました。もちろん時代や世代によって受ける印象は様々でしょう。それでも私が記憶するに、90年代から2000年代初頭にかけては、今も鮮明に残る電撃的吉報が目白押しでした。「秋篠宮さま・川嶋紀子さんご婚約内定」(89年)、「貴花田・宮沢りえ婚約」(92年)、「皇太子さま・小和田雅子さんご婚約内定」(93年)、「安室奈美恵・SAM結婚」(97年)、「松田聖子ビビビ再婚」「石橋貴明・鈴木保奈美結婚」(98年)、「木村拓哉・工藤静香結婚」(00年)、「宇多田ヒカル・紀里谷和明結婚」(02年)など(一部敬称略)。平成に入り、メディアのスクープ術も多様化すると同時に、皇室や芸能人たちの隠密スキルもかなり磨かれた時代故の現象だったのかもしれません。かつて週刊誌などに躍っていた「すわ! ○○!!」なんてすっぱ抜き見出し(もしくは飛ばし記事)もとんと見なくなりました。

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