少し暴論になるが、世論を巻き込めるかはベストメンバーが組めるかどうか、だけではない。熱心でいてくれる野球ファンなら、ベストメンバーが組めなくても、日本代表を応援してくれるはずだ。球団も同じ。秋山が、筒香が、球団からいなくなったとして、全員が西武やDeNAのファンをやめてしまうだろうか。逆にいつまでもポスティングを認めないとしたら、「心の狭い球団」と愛想を尽かすほうが時代遅れと言えるかもしれない。ファンの共感を得るという手法の普遍的な部分で言えば「一生懸命勝つための努力を選手、フロントがする」といったことでしかない。

 世界に対して日本の球団がどうアピールしていくか、そして侍ジャパンが世界大会をどうリードしていくか。それは一朝一夕になし得ないし、世界の才能にひれ伏していたら意味がない。メジャーリーグとの経済力格差を嘆いても無駄だ。日本にできることは何か。時代の変化への対応とともに、世界の野球の中でどう成長していくかを考えることだ。

週刊朝日  2019年11月29日号

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