──洋子の職業は、前線に立つジャーナリストでした。石田さんがいま気にかけている社会的な事象はありますか?
そうですね……年齢的にも社会人の責任のようなものを感じますので、常に社会の役に立ちたい、社会に貢献したいということはいつも考えています。
──ご自身で転機になったと感じる作品は何かありますか?
よく、代表作は何ですか?とか、見どころは?と聞かれますが、それは私が言うことではなく、見てくださる方それぞれが感じてくださればいいなと思うんです。
──「マチネの終わりに」では、とても切ない大人の恋愛が描かれていますが、石田さんの恋愛観について、教えてください。
そこはどうお答えしていいのか難しいのですが……この映画で福山さんが演じる蒔野さんと洋子さんは、精神的につながる2人です。いわゆる恋愛映画でよく描かれるようなヘビーな恋愛をした末に別れるとか、そういう2人ではないですが、私は精神的なつながりが何よりも大事だと思いますし、それはなかなか得ることができないものだと思います。たぶんこの2人は、恋人どうしじゃなくても、ソウルメイトのようなかたちで一生つながっているように思います。そういう相手に巡り合えるということは、本当に幸せなことなんじゃないかなと思います。
──石田さんは、好きな女優やあこがれの女性のアンケートでナンバーワンになることもあります。
私はナンバーワンなんて言われたことないですよ(笑)。もしそうなのだとしたら、とてもありがたいと思いますが、全然そんな、とんでもないです。お恥ずかしい限りでございます……。
──石田さんは「奇跡のアラフィフ」と呼ばれることもありますが、日頃のケアで気を配られていることはどんなことでしょうか?
このお仕事をしている以上、気を付けなきゃいけないことはたくさんあると思うのですが、やっぱり運動をすることと、きちんと睡眠をとることでしょうか。当たり前のことではありますが。
──運動はどんなことをされているのですか?
私、10代のときは水泳の選手だったんですね。30代の半ばからピラティスを始めて、最近は筋トレもやっています。ピラティスは、体にとてもいいので、私は老若男女問わず、世の中の人みんなにピラティスをやってもらったら、どんなにみんなが楽になるかな、健康になるかな、と思っているんです。
──この作品を、どんな方に見てもらいたいですか?
みなさん必ずそう聞かれますが、それはどんな方にも見てもらいたいですよ(笑)。私もそうですが、今は独身の方も多いですし、女性が社会に出て働く機会も多いです。そして寿命も延び、人生はとても長い。そんななかでどうやって生きていけばいいのかというのが、みなさん共通の悩みなんじゃないかと思うんです。でも、この作品の蒔野さんと洋子さんのような出会いもきっとある。これは、それぞれの人生を自分から逃げずに一生懸命生きてきた人たちに神様がくれたご褒美、ギフトとしての出会いなんじゃないかという気がするんですね。だからそんなふうに自分自身と向き合って、がんばっている方々に特に見ていただけると嬉しいですね。
(構成/本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2019年11月8日号
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