──フランス語や英語のセリフは、どのように覚えたのですか?
私は散歩が好きなんですね。いろんなところを歩くのですが、そのときに、セリフを覚えながら歩くことはあります。今回は、ミッション(外国語のセリフの習得)のために、特に歩きながらブツブツしゃべって練習をしていました。
──「マチネの終わりに」は、東京、パリ、ニューヨークを舞台にしていますが、パリの印象はいかがでしたか?
今回の映画のために、パリには16泊したんですね。そんなに長い時間、しかもお仕事で行くということもなかなかないのですが、それだけに、暮らすように滞在できました。それがとても楽しかったですね。パリでもやはり散歩をしていました。モンマルトルのホテルに泊まって、朝は近所のパン屋さんにパンを買いに行ったり。そのへんのエリアを歩いていると、著名な芸術家のお墓があったり、おうちがあったりするんです。そういったところはパリの魅力のひとつですね。
──ニューヨークはいかがでしたか?
ニューヨークもとても大好きな街なのですが、今回はパリとは反対に、とてもあわただしくて。しかも、撮影中に雪が降ってきたりして、大変でした。
──今回主演の福山雅治さんとは、俳優としては初共演になるんですね。
はい。20代のときに一度、コマーシャルでご一緒したことはあるので、二十数年ぶりですね。これまで一度もご一緒していなかったのが不思議なくらいです。私に語学のミッションがあったように、福山さんには今回はクラシックギターを弾くというミッションがありました。そして、物語の内容的にも、なあなあにはなりませんので、現場でお互い雑談したりすることはありましたが、なるべくなれ合わないように心掛けていました。
──距離が近くなりすぎると、演技に出てしまうことがあるということでしょうか。
今回のようなナイーブな心情を描くお話だと、本番を待っている間の過ごし方もけっこう重要なんです。たとえば雑談で話がはずんでゲラゲラ笑った後に、切羽詰まったシーンを撮るのはなかなか大変ですから、そういった緊張感はお互いにあったような気はします。