林:キャスティングが思ったとおりにビシッと決まったときは、最高の気分ですか。

北村:そういうときはね。でも、終わったら全部忘れます。その日のうちに忘れる。なんでこんなに冷めちゃうんだろうって思うぐらい。

林:打ち上げのときに、「楽しかったです。またこの仲間で何かやりましょう」って言われても、「あ、そう」という感じなんですか。

北村:うちは楽日(千秋楽)の前の日ぐらいに打ち上げをするんですよ。まだ1日残ってるんで、私にとってはバラ色なんです。今やってるものがベストだから。そして楽日を迎えて幕が下りて、「お疲れさまでしたァ~」ってみんなが言うんだけど、そのころにはもう、そのへんに置いてある芝居のチラシが、セピア色に見えるんですよ。

林:えっ!

北村:「終わった」という感じがして、み~んな捨てるんです。年間4~5本やってると、終わったら次の稽古に入るから、終わった瞬間に頭がそっちに行っちゃって。

林:やってる最中、劇評に何か書かれたりするとムカついたりします?

北村:もちろん。「寝てたじゃない、あんた」って(笑)。楽屋から客席が見えるところもあるんですよ。

林:ほんとですか。まずいな。私、ときたま寝ちゃうから(笑)。

北村:つまんないときは、私は寝ないで出ますね。途中で。

林:北村さんが途中で出ていったらコワ~い(笑)。

北村:前にうちの高橋克実の劇団の公演を見に行って、それが桟敷席なんですよ。でも、あまりにもおもしろくないから、15分ぐらいたって、まだ克実は出てないのに席を立ったんです。そしたら「おまえのところの社長、帰ったぞ。おまえが出る前に」って劇団員がソデで大騒ぎしてたらしい(笑)。

林:そりゃあショックだったと思いますよ。

北村:でも、見るのが耐えられない。出たほうが正直でしょ?

林:ご本の中にありましたけど、北村さんは非常に女性らしいところもおありで、お弁当なんかものすごく気をつかってらっしゃるんですね。

北村:いまだにそうです。お弁当がよくなきゃ、役者もスタッフも外で言うもん、「あそこのはひどい」って(笑)。シスのお弁当はおいしいです。絶対に手を抜かない。

林:なんか楽しそう、シス・カンパニーって(笑)。

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