退団が決まった中日・松坂大輔選手。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏がその理由について言及する。
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プロ野球はクライマックスシリーズがファイナルステージを迎え、さらに日本シリーズへ入っていく。レギュラーシーズンは143試合の長丁場であるから、なかなか役割というものを大幅に崩すことは難しい。だが、6試合、7試合といった限られた戦い、しかも同じ相手と戦い続ける特殊性もあって、近年は特に、柔軟な対応、起用法が求められるようになった。
昨年のソフトバンクがそうであったように、第2先発というものが重要になろう。1人の力に頼るのではなく、2人で先発の6~7回を任せるという考え方。さらに救援陣の順番もフレキシブルに対応することも求められる。本来は八回を任せるセットアッパーでも、1番の打順から始まる六回や七回に投入するという考え方だ。
絶対的なエース、そして安定感ある抑え投手がいるのであれば、崩す必要はない。相手をねじ伏せられるだけの力量があるのなら、だ。ただ、絶対的な存在であればあるほど、やられた時の精神的ダメージも大きくなる。逆に、二の矢、三の矢を用意できれば「ウチにはまだ勝負手が残っている」というチームの安心感にもつながる。投手からすれば、役割がはっきりしない負担は大きいが、試合数はかぎられる。最後の力を振り絞ってもらいたい。
意外性のある起用というものは、相手に次の一手を予想させないことにもつながる。相手に考えさせた時点で自分たちの土俵で戦わせることができる。レギュラーシーズンの活躍度合いで先発の順番が決まっていた時代は、「奇襲」という言われかたもしたが、今はベンチワークが重要なパーセンテージを占めるようになっている。その点に注目して見ていきたい。
話は変わるが、松坂大輔が中日を退団した。1日に退団が発表された森繁和シニアディレクター、友利結国際渉外担当の名前を挙げ「(ソフトバンク)ホークスをクビになった時に声を掛けてもらい、ドラゴンズに拾ってもらったので、2人が退団することになったのを聞いて僕もいちゃいけないと思った」と理由を説明した。「契約してくれるのに、自分から退団するとはどういうことだろう」と思う方もいるかもしれない。ただ、ベテランというものは、チームの微妙な空気も感じ、自ら身を引く瞬間を感じ取るものだ。球団の幹部がどれだけの慰留をしたかは分からないが、大輔自身が去らなければいけないと感じる状況だったのだろうと考える。