「ダイナマイト試験場で、当時の工場長に無理をお願いした。あの実験で前に進めた。本当の意味でリチウムイオン電池が誕生したのはあの瞬間かなと思っている」
大学時代に考古学サークルの交流で出会った妻の久美子さんは、10月10日の会見で吉野さんの魅力をこう話していた。
「何事にも一生懸命で、社会悪に立ち向かっていく」
吉野さんもさすがに恥ずかしそうだったが、久美子さんから、「好き嫌いが結構激しい。緑黄色野菜をとってほしいのにどけていく。たばこも隠れて吸っている」ことなども暴露された。これには、「その通りです」と苦笑いするしかなかった。
12月の授賞式に向けて、意外な懸念があるという。
「和服は絶対似合わないので洋装。記念講演については何も心配してないが、家内も心配しているのがダンス。いろんな人に本当にするのか聞いている。はてさてどうしたもんかと」(吉野さん)
本誌でも「2019年大注目の100人」の一人として取り上げたように、ノーベル賞への期待を毎年背負っていた吉野さん。受賞を果たしたこれからは、チャーミングな人柄にも注目が集まりそうだ。(本誌・緒方麦、多田敏男)
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