ついに消費税が10月1日から10%に上がった。増税は小売店などの負担も大きく、景気失速が心配されている。大混乱を突破しサバイバルするにはどうすべきか。
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さんは、平均的な世帯だと年約4万5千円の負担増になると試算する。
「世帯主が40~60代の負担が大きい。ほかの世代に比べ支出が大きいためです。家計の恒常的な購買力低下は、内需への影響が大きいとの声もあります。更なる家計向けの支援策などが求められます」
増税に反対してきた藤井聡・京都大大学院工学研究科教授はこう訴える。
「軽減税率のような“目くらまし”にだまされてはいけません。実質的な賃金が下がって消費が下がり、消費が下がるとさらに賃金も下がるというデフレスパイラルが進行します。国民生活には相当の痛手となり、貧困化が進みます。中長期的に見れば、消費増税のせいで税収が減り、社会保障費の財源が縮小します。多くの人は景気が悪くなっても、財政健全化のために増税が必要だと思っていますが、それは間違いです」
日本の税収を全体的に見ると、消費税は右肩上がりなのに、法人税や所得税は下がっている。法人税率や所得税の最高税率が、経済界などの求めに応じて引き下げられてきたためだ。法人税や所得税の減少分を消費税が補う形で、企業やお金持ちに有利で庶民には不利な税制になっている。財政健全化や社会保障制度のために増税が本当に必要なら、法人税や所得税なども引き上げればいいのに、私たち庶民にばかりしわ寄せが来ている。
小売店や飲食店など事業者側の負担も重い。信金中央金庫が9月に中小企業約1万5千社に聞いたところ、増税で売り上げが減少すると答えた割合は23.2%。軽減税率への対応が「できていない」「間に合わない」と答えた小売業の割合は計3割を超えた。
中小企業にとってキャッシュレス決済への対応は大きな課題。都内の中小スーパー「たつみチェーン豊洲店」代表の村松義康さんは、周りの小売店や飲食店の中には対応できない店も少なくないという。