「太陽光で発電した電気を直接使用できるコンセントが家の中にあります。おかげで停電中も洗濯機や掃除機を使うことができました。蓄電池がないため発電している昼間だけでしたが、それでも家事ができたのは大きい。台風の強風で屋根の一部が剥がれたものの、ソーラーパネルは無事。家を建てるときに太陽光発電をつけてよかったと改めて思いました」
太陽光では停電時に売電はできないが、自立運転モードに切り替えれば発電した電力を最大1500Wまで利用可能だ。単体で使うなら、エアコン(100Vのもの)、電子レンジ、テレビ、炊飯器など、ほとんどの家電器具が使用できる。
一方、火災も起きた。千葉県市原市にある国内最大の水上メガソーラー設備「千葉・山倉水上メガソーラー発電所」(京セラTCLソーラー)が突如として燃えたのだ。京セラの広報担当者は、こう説明する。
「台風15号が千葉を通過した9月9日早朝、強風でソーラーパネルの約3分の2が岸辺付近へ移動して一部が折り重なる状態になりました。13時ぐらいにはパネルが載っているフロートが燃えだした。消防に通報し、火は4時間後に消えましたが、火災の原因はわかっていません」
この太陽光発電所は、18年3月に稼働したばかり。ソーラーパネルはガラスやアルミなどからできているため火が出にくいものの、燃えやすいプラスチック製のフロート部から出火した。東京電力の送電網との接続は切り離してあったが、「太陽が出ていれば個々のパネルは発電する」(広報部)ため、漏電の可能性もある。
18年の台風21号でも、大阪市のメガソーラーのパネルが1万枚以上飛んだり壊れたりした。このときもパネルの樹脂部分から発火している。ソーラーパネルの重さは1枚16キロ前後。飛ばされて人や物に当たれば、二次災害も免れない。
太陽光発電は地震や台風など自然災害時に力を発揮する一方、リスクも浮き彫りになった格好だ。
※週刊朝日 2019年10月18日号