「今年のエネルギー白書では『日本はエネルギー需要密度が高いため、再エネ比率は上げづらい』などと表記し、これ以上の再エネ導入は難しいと言い始めています。しかし、世界では太陽光、風力、蓄電池の三つがエネルギー大転換を促すキープレーヤーになっています。何より地産地消できる再エネを増やせば経済的にはもちろん、エネルギー安全保障面でもメリットが大きい。優先するべきです」

 一方、FITができる以前からあった太陽光の余剰電力買い取り制度が始まってから今年で丸10年。住宅用では10年間の買い取り満了を迎える人が11月から出始め、その数は年内だけで53万件に上る。太陽光の2019年問題とも呼ばれているが、何が問題なのか。

「不満が出るとしたら09年度から15年度までに設置した人」と話すのは、住宅用太陽光情報サイトを運営するソーラーパートナーズ専務の中村雄介氏だ。

「買い取り満了後は、自分で売電先を見つけるか自家消費かを選ぶことになります。売電の場合、価格は各電力会社が自由に決めるのですが、経産省は目安価格を当初1kW時当たり24円と見込んでいました。ところが、電力市場の自由化などを理由に16年度に11円に下げてしまったのです。24円で収益計算をしていた人たちには、売電収入の見通しが大きく狂ったことになります」

 対策としてできることは、なるべく高く買ってくれる電力会社を探すことだ。大手電力会社は1kW時当たり7~8円台だが、新電力系は自社商品の購入や組合員になることを条件に高値で買ってくれることが多い。1kW時当たり20円を超す価格を設定する事業者もある。

 自家消費をするならオール電化や、停電時の備えを兼ねて蓄電池を導入する手もある。タイナビ総研が実施したアンケートでは、FIT満了後に蓄電池などで自家消費すると答えた人が6割を占めた。蓄電池は高価格がネックだが、米テスラ社は13.5kW時で100万円を切る製品を売り出した。国産メーカーの3分の1の値段だ。「今後、価格競争が進む可能性が高い」(中村氏)という。

 太陽光発電を使うメリットの一つに、災害で停電が起きたときにも電気が使えることがある。9月に関東で猛威を振るった台風15号の強風の影響で送電網が寸断された千葉県鋸南町では、9割以上の世帯が停電し完全復旧まで2週間以上を要した。この間、「料理ができない」「エアコンが使えない」といった声が相次いだが、ソーラーパネルのあるAさんの家庭では電気を使えて助かったという。

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