「太陽光発電の区分には住宅用の10kW未満に加え、事業用として10kWから500kW未満、500kW以上の3区分があります。うち10kWから500kW未満のものに景観や安全面などでトラブルを起こしている設備が多い。事業用FITが終了すれば、問題の多かった区分への参入事業者は減り、太陽光発電の適正化が進むはずです」

 実際、事業用太陽光を手掛ける業者からは「FITがなくなれば中小事業者は淘汰される」とする声が聞こえてくる。

「買い取り価格が以前より下がったとはいえ、小規模事業用では1kW時当たり14円が20年間保証される。下手なアパート経営よりも利回りが良いことから、今でもやりたい人は多い。しかし、FITがなくなり入札となればうまみもない。その上、最近は景観問題などで以前のように簡単に設置ができなくなっている。今後、中小は撤退し、大規模展開でスケールメリットを生かせる大手しか残れなくなる」(中小事業者)

 気になるのはFIT後の入札制度だ。日本では17年4月に施行された新FIT法で既に入札制度が導入され、現在は500kW以上の太陽光に適用されている。

 国があらかじめ決めた設備容量に応じて発電事業者に入札を募り、入札価格の安い順に落札。その価格が電気の買い取り価格となることから、コスト低下が見込める仕組みだ。ただ、今回検討されているのはこの制度とは異なる。

「ドイツなどで導入されているFIP(フィード・イン・プレミアム)と、英国が採用するCfD(コントラクト・フォー・ディファレンス)などが検討されています。どちらも電力の卸売り市場価格に連動しつつ差額を付けていくものですが、やり方が違う。日本に導入される可能性が高いのは、市場価格に補助金を上乗せしていくFIPと見られています」(大林氏)

 FIPにも三つの方式があり、どれを採用するかを含め制度設計はこれからだ。

 新たな制度を軌道に乗せるには改善しなくてはならない点もある。環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長の飯田哲也氏は、電力市場の問題点を指摘する。

「現在の入札制度では参加料や保証料に大きな金額が必要なために地産地消的な事業者が入りにくく、その点ではFIPに移行するのが良いと思います。ただし、日本の卸電力市場に出ている電力のほとんどは、大手電力会社が自前でのみ込んでいる。つまり、ドイツなどと違ってベースとなる適正な市場価格がないのです。FIPを機能させるには、電力会社を見せかけではなくきちんと発送電分離し、完全にオープンな電力市場を作る必要があります」

 政府の再エネ導入を進める姿勢にも注文を付ける。

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