尿路結石症患者の男女別、年齢別分布  (週刊朝日2019年10月4日号より)
尿路結石症患者の男女別、年齢別分布  (週刊朝日2019年10月4日号より)
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 血尿や突然の激痛が襲う尿路結石症の患者が、この50年で3倍以上の数に増えている。男性なら10人に1人ぐらいがかかり、壮年の男性と閉経後の女性に多い。半数近くが再発している。患者が増えている背景には何があるのか。予防するには食事など、どのような生活をすればいいのだろうか。

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 東京都内で仕事をする男性は40代のある日、下町の繁華街を散策していた。交差点に差しかかったときに突然、下腹部に激痛が走り、その場にしゃがみこんでしまった。冷や汗も出てきてパニック状態。同伴者にすぐに救急車を呼んでもらい、病院へ搬送された。

 病院で尿路結石症と診断された。入院中はずっと点滴を受け、痛みは2日ぐらいすると消えた。排尿の際には痛みがあったが、あるとき、尿に混じって玉のような塊が出てきた。これが問題の結石だったのだろうと男性はみている。

 50代のときにも結石に見舞われた。痛みはなかったが、排尿の際に何となく詰まった感じがして、尿道からは血液が出てきた。病院へ行くと結石と診断され、処方薬を飲んで治った。当時は太っていて、体重が100キロ近くまであったという。

 尿は腎臓でつくられ、そこから尿管や膀胱(ぼうこう)、尿道を通って排泄(はいせつ)される。尿路結石症は尿の通り道に石ができるもので、食事などの生活が大きく関係していると考えられている。原因にはわからないことも多いが、シュウ酸カルシウムなどが尿中で飽和状態になって結晶ができ、そこにシュウ酸などが付着して成長し、結石になると考えられている。

 微小な結石は自然に排出されることも少なくない。だが、尿路の粘膜を傷つけ、出血に至ることがある。また、結石が尿の流れを妨害して腎臓の圧が上昇することで、激痛を引き起こすことがあり、吐き気などを伴うこともある。

 患者は、この半世紀で3倍以上の数になっていることが日本尿路結石症学会の全国疫学調査でわかった。厚生労働省の患者調査では、尿路結石症で2017年に医療機関にかかったとみられる患者が年間に6万6千人程度いたと推計。このうちの3分の2近くを男性が占めていた。患者数は男性が女性の2倍近くになっている。中高年に多いのが特徴だ。女性ホルモンが抑制因子になっている可能性があり、女性の患者は特に閉経後に多い。

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