相続財産管理人が評価したところ、約26億6千万円という数字が記載されている。田辺市の評価は、そこから200万円ほど高いものとなっており、30億円には達しないが、ほぼ近い数字だ。
現金とは、野崎氏がキャッシュで保管していたものを指す。野崎氏の著書には、テレビ局が田辺市の自宅に取材に来た時のことがこう描かれている。
<レポーターが甲高い声を上げてクローゼットの棚に置いてあった帯封のある札束を指しました。そこにも多分2000万円ぐらいは置いてあったと思います>
<1億円なんて紙屑みたいなものですよ>
すごい金額が現金で残っているのかと思いきや、拍子抜けした。また、著書ではルノワールやシャガール、藤田嗣治の有名画家の絵画も所有し、数千万円の価値と記載されているが、こちらも一桁少ない評価となっている。
野崎氏の財産は「貸金業の大成功があって、築かれたもの」と多くの知人がそう話す。だが、返済されていない貸金、金利の過払い請求が現在も野崎氏の負債として残っており、合計で13億2千万円にのぼるとみられる。
そこに土地や建物の不動産については、多数に渡るので一括売却されることが一般的。不動産鑑定士の調査では3100万円ほどの評価とされる。相続財産管理人の評価の7分の1ほどだ。
また、絵画や壺については野崎氏の公認会計士が評価したもので、鑑定書で確認されたものではないので、報告書では「資産価値はゼロ」と記されていた。26億6千万円から、差し引きして実質的な評価として計算したところ、田辺市が公表した約13億2千万円となるという、報告となっている。それでも一般的なサラリーマンの生涯賃金の数倍になるもので、一代で築いた遺産としては、すごい金額である。
そこで気になるのが、野崎氏が結婚した55歳年下で年下の妻、Sさんは野崎さんの遺産を受け取れるのかどうかだ。
報告書によれば、野崎さんの遺産は<市への包括贈与している状況にあることから(中略)全てが市の持ち分>と報告書にはある。