在りし日の野崎幸助さん。隣は55歳年下の妻、Sさん
 在りし日の野崎幸助さん。
隣は55歳年下の妻、Sさん

 去年5月に不審死した『紀州のドン・ファン』と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)が、「全財産を市へ遺贈する」という遺言を残していたことがわかった。

 田辺市によると、去年8月に野崎さんの遺言書を確認し、そこには全財産を市に遺贈する旨が記されていたという。市は専門家の意見などを聞くなどして野崎さんの全財産の把握などを進めたところ、少なくとも約13億円の資産が残されていたという。

「これで社長も喜んでいるんやないかな」
と話すのは、野崎さんと40年来の知人のAさんだ。

 昨年、野崎さんが急死した後、Aさんは知人、Bさんから遺産の件で相談を受けたという。

「実はBさんの元に社長から遺言書が送られてきたんです。Bさんも私と同様に社長とは長い付き合いです。そこで、社長の死後、2人で遺言書を開けて見ると、間違いなく社長の字でした。2番目の奥さんと離婚した際に、社長は慰謝料などでかなりもめていて、憔悴していた。『遺産は田辺市にでも寄付しようか』と力を落とし、語っていたことを思い出しました。この遺言書の内容は本物だと、Bさんは裁判所で手続きをとったのです」(Aさん)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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