また、購入の申し込みを受け付けるコールセンターは、自社で運営しているか、2~3時間の外部委託で契約していることもあり、いずれの場合も短時間に大量の商品購入を受け付けられれば人手などのコスト面で効率的な運営ができる。

 こうしたテレビショッピングの商売では、時間当たりにいくら売り上げるかがポイントになると、村山さんは指摘する。するとメーカーが在庫処分したい商品ではなく、ヒットが見込めるいい商品が扱われやすくなるのだという。

「商品を売り切らないともうからないため、売り切る可能性のある商品しか番組では取り上げません。メーカー側も番組で取り上げてもらえるように、いい商品を提供してきます」(同)

 また、テレビショッピングでの特別値引き価格は商品のプロモーションとして取り上げてもらうためのものと割り切り、番組に提供した商品は収支がトントンのメーカーもあるという。番組を見逃した人は後で通常価格で購入することもあるため、そこでメーカーはもうけるようにしている。

 プロモーション効果は侮れず、テレビショッピングの世界でヒットすると、爆発的に売れることもある。例えば、かつてヒットした、「ビリーズブートキャンプ」という7日間の短期集中エクササイズのDVD商品がそれだ。映像には米国陸軍専属トレーナーだったビリー・ブランクス氏が登場し、キックボクシングのような動きのエクササイズが特徴だ。ビリー隊長が叱咤激励する掛け声の効果もあり、激しい運動ながら楽しくできると人気が出た。日本では、1万5千円ぐらいで販売され、07年5月だけで20万セット、30億円も売れたとされる。

 ちなみに、テレビショッピングで、大量にモノが動くのは、テレビという映像媒体ならではの仕組みも影響している。テレビショッピングが扱う商品には化粧品やアパレル、日用品、家電製品などのほかに宝飾品がある。米国のテレビショッピング業界でも宝飾品の扱いは多いという。村山さんは「通常なら小さな商品が画面では大きく拡大され、きれいに見えるのです」と明かす。

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