■鈴木おさむ/1970年生まれの団ジュニたちへ鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
■鈴木おさむ/1970年生まれの団ジュニたちへ
鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
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 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「厳しすぎる『教育』」について。

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 昔教え込まれたことって怖いなという話。うちのスタッフでK君という28歳の男性がいます。バイト契約で、まじめで寡黙な青年。自分から話しかけてくることはほとんどありません。

 僕のところで2年ほど仕事してくれていますが、先日、K君が元高校球児で、甲子園に出場したことがあることを知りました。しかも2回も! そんなこともっと早く言ってくれよと言ったのですが。話を聞くと、K君が自分から話しかけてこないことには理由がありました。K君の高校の野球部は全寮制で、かなり厳しかった。特に上下関係はとんでもなく。どのくらい厳しかったのか聞いてみると、驚きました。僕らの時代ならともかく、K君は28歳。つまりたった10年前の話で。てことは、今でもそれに近い厳しさは残ってる可能性がある。例えばどんなこと?

 その野球部は基本坊主で、何かミスをやらかすと五厘頭。数ミリの短さになり頭は青くなる。五厘の上もあり、カミソリで髪の毛を剃(そ)る「ソリン」というらしい。ソリンは、ミスというよりも先輩に無理やりやらされる。夏にソリンになると、頭が火傷(やけど)するのだとか。

 その寮は山の上にあり、周りは森林。下級生は練習終わりに、上級生が森林の中に投げたボールをパンツ一枚で取りに行く。過酷なのはここからで、取りに行き、体を蚊に刺されるとペナルティーがあるのだとか。

 そのペナルティーとは逆立ち。逆立ちはペナルティーでよく使われたらしく、下級生がミスをすると同学年は連帯責任で全員逆立ち。しかも10分。途中で一人でも崩れると最初からやり直し。厳しい。厳しすぎる。

 その野球部では、下級生から上級生に話しかけたり、質問したりすることは禁止されていて、上級生が何か話してきた時に「もう一つ、いいでしょうか?」と確認を取って、ようやく質問が許されるのだとか。このルールは、厳しい運動部だと結構“あるある”らしいが。

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