4番抜擢に批判の声もあった。ただ、これは清宮だけが通ってきた道ではない。先輩の中田もスランプで苦しんでいた時期に、栗山監督は4番で我慢強く起用し続けた時期があった。清宮の4番での成績は10試合出場で打率2割7分、2本塁打。出塁率は3割4分9厘と及第点は与えられる。最後は3試合連続でマルチ安打と調子を上げ、25日から中田に4番を譲る形となった。前出のスコアラーは清宮のある変化を口にする。「現時点では中田のほうが実力は上です。やっぱり中田が4番に座ったほうが打線に威圧感がある。でも最後の3試合を見ると、清宮も4番打者が似合うなという雰囲気があった。8、9番を打っていたときと打席での雰囲気が違った。ボール球にも簡単に手を出さなくなったし、簡単に凡打しなくなった。4番という打順の責任感を感じているようにも見えました。もう少し4番・清宮を見たかった思いもありますね」

 常に世代の中心だった清宮だが、今年は置かれた立場が変わった。同期のヤクルト村上宗隆が31本塁打、86打点(8月30日現在)と大ブレーク。同じ右投左打の長距離砲に水をあけられた。村上を超えるためには、中田という壁も乗り越えなければいけない。栗山監督は中田、清宮のどちらを4番に据えてチームづくりを進めるか。今後の起用法が注目される。(春日哲也)

週刊朝日  2019年9月13日号