茨城県内の常磐自動車道であおり運転をし、男性を殴ってけがをさせたとして宮崎文夫容疑者(43)らが逮捕された事件が波紋を広げている。
警察庁長官は事件後、「あおり運転は、極めて悪質な行為で、刑法の適用を含めた取り締まりを強化する」と大号令。その影響で、大阪府警は、堺市内で1月にあおり運転をし、運転手の胸ぐらをつかんだとして、大阪府松原市の僧侶の男(61)を暴行容疑で8月22日までに書類送検した。
宮崎容疑者の事件で決め手になったのは、被害者男性の車のドライブレコーダーの映像だった。堺市の事件でも僧侶の車が繰り返し急ブレーキをかけてあおったうえ、法衣姿で車を降りた僧侶が被害者に「降りてこい、こらぁ」などと怒鳴る様子がドライブレコーダーに記録されていた。書類送検された僧侶は本誌の取材に対し、こう釈明した。
「カーッと頭に血が上って相手の運転手を怒鳴った時、助手席の檀家の方が『いい加減にしろ』という感じでクラクションを鳴らしてくれて、ようやく冷静さを取り戻しました」
事件後、ドライブレコーダーの映像がユーチューブにアップされ、「僧侶なのにひどい」などと批判が殺到。6月末以降、北堺警察署から取り調べを数回、受けたという。
「正直、危険な運転は相手からしてきたことだ。今回の事件で、私の職業は直接関係ないが、坊さんとしてどうなんやと言われると、反省しています。人として行き過ぎたことでした」
書類送検されたことがマスコミで報道され、檀家が20軒ほど減ったという。
「うちの寺は200年以上続いていますが、本山からも連絡がきて、『やめてくれ』という意味合いのことを言われました。起訴されるかどうかはわかりませんが、書類送検されただけで大きく報じられ、社会的には抹殺されたようなものです」
元千葉県警交通警察官で交通事故鑑定人の熊谷宗徳さんが説明する。
「ドライブレコーダーは動く防犯カメラとして、加害者側のあおり運転の確実な証拠になる。装着を義務化する流れになっていくでしょう」