プロで1年目から活躍できる完成度はあるが、松坂、田中のように球界を背負える投手になるために、という観点で1点だけ指摘しておきたい。これは大会中に直すというよりも、もっと上のステージ=プロで戦うための話という前提で話をさせていただく。「左ひざ」だ。右足一本で立ち、体重移動していく時に腰高で、左足に乗り切れていない。少し三塁方向に体が流れるため、スライダーは抜け、直球を右打者の外角低めにひっかく球があった。大会後でいいから左ひざを柔らかく使って、左足に乗って投げる「意識」を持つだけで、もっと良くなる。
決して「修正」と思わないこと。直そうという意識が強すぎると、今でも及第点といえるバランスが崩れる可能性があるからだ。この大会はおそらく失点しないこと、勝つための投球を行うだろうね。だから大会に入ってから、修正できることは普段やっていることだけでいい。終わってから、プロに入るのであれば、その期間で意識を持って取り組めばいいことだ。
試合ではセットポジションでいいが、練習のうちは、ワインドアップかノーワインドアップでもっと大きく体を使って、上半身と下半身のバランスを探ることも大事。「完成」するのはもっともっと先でいい。
※週刊朝日 2019年8月30日号