山田:本当に戦略的なドラマ。少し前まで作り手の戦略が透けて見えるのは視聴者に敬遠されていたけれど、一周してまた戦略がウケる時代がきた感じがします。
──テレビ離れが加速するが、面白い作品はまだまだある。特に今は週末や深夜枠が注目だという。
カトリーヌ:金曜日は大渋滞。「凪のお暇」(TBS系)を見た後に「セミオトコ」(テレビ朝日系)を見て「Iターン」(テレビ東京系)を見る。そして裏で「これは経費で落ちません!」(NHK)を録画する。
山田:金曜日から日曜日はドラマが充実してるよね。
カトリーヌ:サウナ好きの漫画が原作になった「サ道」(テレビ東京系)は、ストーリーを楽しむというよりは、環境ビデオに近い。深夜、寝る前に見るのがちょうどいい。芸能界にはサウナ好きが多いから、いろんな人がゲスト出演したいんだろうなって(笑)。
山田:「ドクターX」シリーズのように安定感のあるドラマはともかく、もう少し若い人に向けたものや、意欲的なドラマは、今は21時じゃ早い気がするんです。
カトリーヌ:深夜でも本気のキャスティングのドラマが増えてきたよね。
山田:テレ朝の金曜ナイトドラマ(金曜23時台の枠)とか、東海テレビ制作の「大人の土ドラ」(大人の人間ドラマと銘打った土曜23時40分からの放送枠)で放送されるようなドラマがどんどん存在感を増してきた。
カトリーヌ:「セミオトコ」も、話題を集めた「おっさんずラブ」(テレビ朝日系、18年放送)も“ナイトドラマ”。23時を超えたら、ムチャな話でも許せる(笑)。
山田:そうそう(笑)。
カトリーヌ:21時だと怒っちゃう(笑)。
山田:この時間帯なら、それほど有名ではない原作でもドラマ化してもいい、みたいな空気は視聴者側にもあるよね。作り手にチャンスが回ってきた気がする。
カトリーヌ:映画監督が手掛けたような、ドラマとしては珍しい作品に出会えることも。質も高いですよ。
(構成/本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2019年8月30日号