東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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報徳学園からドラフト1位で広島に入った小園。7月26日には初本塁打を放った (c)朝日新聞社
報徳学園からドラフト1位で広島に入った小園。7月26日には初本塁打を放った (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、シーズン終盤の9月を控える今の戦い方について、持論を展開する。

【写真】報徳学園からドラフト1位で広島に入った小園海斗内野手

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 長かった梅雨の時期も終えて暑さも夏本番といったところだろうか。以前から屋外球場とドーム球場の疲労度の違いは指摘されている。特に屋外球場を本拠地とするチームは、選手の疲労をとにかく見極めることが大事。9月に息切れとならないマネジメントが必要になるよね。

 デーゲームでは屋外の試合前練習の時間を制限するなど、いろいろな策があるだろう。そして、2軍選手の思いきった起用も一つの手である。春から主力として走り続けてくると、この時期に万全という選手は少ない。休養をはさみながら、時に思い切った選手起用を行う。その中で何とか勝ちを拾っていく。大事な9月の戦いは絶対に主力に負荷がかかるのだから。

 例えば、7月30日に楽天日本ハム戦でドラフト4位のルーキー弓削隼人を先発起用し、2安打完封勝利を挙げた。こういった1勝は大きいよ。投手も野手もへばっているところに、フレッシュな存在が結果を残せればね。

 今年は2年目、3年目の選手を含めて、プロ初勝利を挙げる選手が多いような気がする。実際に統計をとったわけではないが、各球団の絶対的エースが存在感を示すというよりも、新しい名前が随所に出てくる。前から言ってきているが、今や支配下登録されている選手は、全員が1軍の戦力である。その意味では、各球団ともに1、2軍の連携が取れてきているのは確かだろう。

 投手で言えば、ボールの回転数から変化球の変化量まで研究され尽くしている今のプロ野球界にとって、データの少なさは大きな武器にもなる。8月いっぱいくらいまでは、12球団の監督の新戦力の起用法を観察してみると面白い。

 広島の小園海斗内野手がレギュラーをとりそうな勢いをみせている。ルーキーを含めた若手は一気に伸びる瞬間がある。だからこそ、首脳陣は起用をためらわないでほしい。よく、「2軍でじっくり……」という育成方針を聞くけど、ここぞのタイミングだけは見極めてもらいたいよね。中日の根尾、ロッテの藤原ら、もう2軍で数カ月が経過した。「今年1年は……」と考えていると、一気に伸びるきっかけ、機会を失う。

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