私が西武監督時代に遊撃のレギュラーに据えた松井稼頭央(現西武2軍監督)も私の想定をはるかに超えるスピードで球界トップにまで上り詰めた。あの時は我慢して起用する腹を決めていたが、本当に1、2年で一気に……といった感じだった。

 オールスター直前までは、セは巨人、パはソフトバンクが独走するような勢いがあったが、ちょっと停滞する間に下の球団が詰めてきた。うまくついていければ9月に勝負できる。監督の腕の見せどころである。

 古巣の西武も勝率が5割を超え、2年連続のリーグ優勝も夢ではない位置にいる。ただね、投手陣がもっと奮起しないと。高橋光、今井に、昨年の最多勝だった多和田。これだけの強力打線をバックにしながら、試合終盤まで投げきれない試合が多すぎる。別に完封しろといっているわけではない。どうやったら打者3巡目まで抑えられるのか。そのために何が必要なのか。その壁を突き破らないかぎりは、エースと言われる存在にはならない。もっと奮起してもらいたい。

週刊朝日  2019年8月16日‐23日合併号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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