こうして北朝鮮は世界最大の軍事国家アメリカ政府に対して、「余計なことをすると、ニューヨークかワシントンに一発お見舞いするぞ」という脅迫に成功して、トランプ大統領を首脳会談の場に引きずり出すまで手なずけたので、現在はアメリカの出方待ちの状態にある。
よって私が日本のテレビ報道界に尋ねたいのは、アメリカとIAEA(国際原子力機関)は、なぜ北朝鮮やイランの核兵器だけを非難するのか、ということなのである。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の国連5大国が核兵器を持っていることをほとんどの人間が常識だと考えていると共に、紛争地域であるイスラエル、インド、パキスタンの核兵器が放任・黙認されているのはなぜなのか? おかしいではないか。この質問に答えられない人間は、北朝鮮の非核化などに言及する資格がないことこそ、むしろ人間の良識であろう。
したがって国際社会は、あり得ない北朝鮮の非核化を議論して時間を浪費するより、現実の敵対的武装を解除するという和平に向けての議論を進め、互いに「友好関係を深める」だけで必要十分なのである。その目的を達成したのが、今年6月30日に南北国境の板門店をトランプ大統領が電撃的に訪れて、金正恩委員長と握手を交わし、軍事境界線を越えた行為であった。この出来事は、文在寅大統領が語った通り、「文書上の署名ではないが、これでアメリカと北朝鮮の敵対関係が事実上、終息して新しい平和時代の本格的な開始が宣言された」のである。
なぜなら北朝鮮は、「アメリカが北朝鮮の友好国になるなら、われわれに核兵器は一発も要らない。核の全廃は簡単なことだ」と全世界に向かって宣言しているからだ。
※週刊朝日オンライン限定記事
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