A男さんは並行して社会貢献につながる仕事にも取り組んでいる。しかも、仕事も社会貢献も「お金」に結びついている。

 日下部さんによると、キャリアさえリセットできてしまえば、シニアの目の前には広大な世界が開けてくるという。65歳までの雇用は法律で企業に義務づけられているから、ここでいうシニアは「65歳超」の人たちだ。

「その年代の仕事の種類がひところに比べるとずいぶん増えているんです。以前はシニアがハローワークに行くと、男性ならマンション管理員や警備員、女性なら介護職などの求人がほとんどでした。今は人手不足の影響もあって、仕事の種類自体が増えているのです」

 具体的にはどんな仕事があるのか。日下部さんによると、スキ間的な「おすすめ」仕事があるという。

「マンション管理員でも、コンシェルジュになると一つ格が上がります。しかも英語ができると給料が高くなる。大学や公共施設の受付もいいですよ。自治体から運営を民間企業が受託している案件だと、70歳すぎても働けることが多い。お客さんらと接しなくてもすむという点では、スーパーのカゴ整理や電気・ガス・水道の検針員も私はいいと思います。仕事の中身で言うと、コンビニよりスーパーのほうが働きやすい。コンビニは仕事の種類がとにかく多いですから」

 冒頭のA男さんのように、「いきがい」を求めてフルタイムで働くのも一つの道だが、公的年金をある程度もらえていれば、生活費のためにガツガツ働く必要はない。月5万円、10万円でも稼げれば貯金の取り崩しを防ぐ効果は十分ある。

 いわば「年金ちょい足し」のお仕事。実際、年金ちょい足しワークのシニアたちは、仕事や趣味を楽しんでいる人が目立つ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2019年8月9日号より抜粋

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