「東京ディズニーリゾート」(千葉県)、「鴨川シーワールド」(同)、「旭山動物園」(北海道)といった若者に人気のレジャー施設は、孫たちと一緒に行きたいと願う要介護者も多い。しかし、家族が要介護者の車いすを押して、トイレの介助、食事の世話とすべてを行おうとすると負担がかかる。そんなときこそ「トラベルヘルパー」(外出支援専門員)に同行をお願いするという選択肢もある。

 NPO法人日本トラベルヘルパー協会の研修を経て資格を取得したスタッフが各都道府県で旅のサポートを行う。申し込む際には、1991年創業の関連会社エス・ピー・アイが運営する「あ・える倶楽部」(東京・渋谷)が窓口になっている。

「トラベルヘルパーのサービスは、外出や旅行中の移動、入浴・トイレ介助、宿泊施設での夜間の見守りなどをご家族に代わって行います。お問い合わせいただきますと、要介護の方の体の状態などを丁寧に聞き取ります。旅先が決まっているけれども段取りが大変という方には、温泉地や旅館、交通などツアーのコーディネートも行います」

 そう語るのは同社代表取締役の篠塚恭一さん。トラベルヘルパーの派遣は、介護保険外サービスなので料金は実費。要介護度1.2は1日8時間で3万2千円(税別、以下同)、要介護度3~5は3万6千円。入浴介助のみ派遣をお願いすることもでき、要介護度1.2はスタッフ1名のサポートで1万4千円、要介護3~5は1万5千円となる。このほかにトラベルヘルパーの交通費や宿泊代が別途かかる。

「最近はバリアフリー対応の宿泊施設が増えてきているので、自分たちで旅のコーディネートをして、パッケージ旅行にトラベルヘルパーだけを依頼される方も増えています」(篠塚さん)

 利用する高齢者の要介護度の平均は3.3。サポートした最高齢は106歳で要介護度5の女性もいた。

「北陸にお住まいの方で70代の娘さんと秋の京都に紅葉を見に行きたい、といったリクエストがありました。スロープがついていない神社やお寺は人海戦術で階段を上がりました。娘さんから『母が喜んでくれていい思い出になりました』という言葉をいただきました。ご本人の『行きたい』という気持ちを後押ししています」(同)

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