遼はしっかりそういう部分に気づいて、実践できてる。アメリカで結果が出ずに苦しんだり、腰痛だったりといろんなことがありましたけど、あらゆることを見つめ直したり、体を整えたりっていうことを考えると、回り道もいい時間だったのかもしれないですね。
大雨で初日の競技が中止となり、最終日は36ホールを回りました。前半の18ホールで遼は大崩れ。トップでスタートしたのに、11、12番で連続ボギーを打ったときには、首位に7打差をつけられてしまいました。あれは想定外のミスだったと思うんですけど、まあでも、後半の17番での黄の池ポチャも想定外のミスでしょうね。あれで遼が追いつきましたから。そういうチャンスをつかんだときに、食らいついていって最後プレーオフにまで持っていけるところが、遼のすごいところですね。
あと、遼に関して今回よかったことは、彼が18番で思い切ってドライバーを振る姿を見られたところだと思ってます。ここ最近見られなかったんで、若いときの遼を思い出しましたね。
3年ぶりに優勝して、遼は改めて米PGAツアーを主戦場にしたいと口にしました。米ツアーをエベレストに例えて、「前回は自分だけ軽装備で登ってた」と言いました。あのときはもう、なんだか一人の世界でゴルフをしてました。足りなかった装備のひとつは、情報交換をする仲間だったと思うんです。いまでこそ彼はいろんな選手と話をしたり、僕らみたいな年上の人間ともちゃんと向き合ったり。そこがすごくいいんじゃないかと思いますけどね。
まだ27歳ですし、いくらでもチャンスはありますけど、とにかく本当の重装備ができてから立ち向かうってのも、一つの手じゃないですかね。
※週刊朝日 2019年7月26日号