青柳翔は、EXILE ATSUSHIに言われた言葉を今も肝に銘じている。
【青柳翔 写真特集】撮り下ろしグラビアやアルバムのジャケット写真などをもっと見る(6枚)
「青柳、うまく歌おうとしてない? うまく歌おうとするな。舞台で悩み苦しんできて、そこから絞り出される歌を聴かせてくれ」
それからは役者の自分のまま歌うことを意識している。2009年に舞台『あたっくNo.1』で」俳優デビュー。‘12年、映画『今日、恋をはじめます』で第22回日本映画評論家大賞新人賞受賞。その後、映画『渾身KONSHIN』『サンゴレンジャー』『たたら侍』、ドラマ『目玉焼きの黄身いつつぶす?』などで主演した。しかし、札幌にいた10代のころはシンガーを夢見ていた。
「カラオケで歌うと、仲間たちに褒められて、すっかりその気になっていました」
2006年、19歳のときに「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION ~ASIAN DREAM~」に挑戦。東京・お台場の会場を訪れると1万人以上の応募者がいた。2人ずつ呼ばれて20秒、ア・カペラで歌っていく。審査員席には、EXILE HIROがいた。ATSUSHIもいた。
「緊張で意識が飛びました」
1次審査は通過したが、後日行われた2次で落選。シンガーの夢はついえたと思った。オーディションを受けたことをきっかけに、スタッフから声をかけてもらい、青柳は役者を目指すことに。札幌で稽古を積み、レベルアップのために東京へ引っ越した。
「札幌で通っていたスタジオは月に3回しか稽古がなく、それでは足りないので東京へ引っ越しました。東京では居酒屋でアルバイトをしながら稽古を続けた。勉強のために芝居も観に行きました。下北沢の小さな劇場で観た前衛の芝居は今も憶えています。天井からぶら下がったマイクがすーっと降りてきて、ステージにドン! と落ちるんです。その瞬間、役者さんたちがギャー! と叫ぶシーンがすごくて。たぶん原爆を表現しているんだと思いますが、なかなか理解できなくて。若かったし、デビュー前ですから、こういう芝居を理解できない自分はだめなんじゃないかと、真剣に考えました」