春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が刊行されました!
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が刊行されました!
※写真はイメージです (c)朝日新聞社
※写真はイメージです (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「老化のプラスを楽しむ」。

*  *  *

【ポイント】
(1)老化はマイナス、しかしプラス面もある
(2)老化とともに人生の味わいが深まる
(3)故郷・地球への思いも深まってくる

 年をとることによる老化現象については以前にも説明しました(3月22日号)。

 大まかに一口で言えば、「老化によって体に起こるさまざまな変化。基礎代謝・循環・呼吸・腎・神経・免疫などの機能が低下し、疾患にかかりやすくなる」(広辞苑)ことだといえます。「機能が低下し、疾患にかかりやすくなる」のですから、いいことだとは言えないですよね。しかし、マイナスがあればプラスもあるというのが物事の常です。そのプラスに目を向けて楽しむのがナイス・エイジングの方法です。

 私は老化とともに人生の味わいが深まってきているのを日々、感じています。

 例えば、毎日の晩酌です。また酒の話かと言われそうですが、私にとっては生命をときめかせる重要な時間なのです。この晩酌も40、50代は勢いにまかせて飲んでいるだけでした。味わいを感じられるようになったのは60代になってからです。太極拳の師である楊名時先生と盃を酌み交わしたのもその頃です。先生はすでに70代で、年は一回り違いました。たわいのない話しかしないのですが、生命の深まりを感じる貴重な時間でした。老境の揺籃期(ようらんき)に、よき師に恵まれたことを心から感謝しています。

 また40年続けている呼吸法も、よくなったのは80歳を過ぎてからです。本当に呼吸法が好きになりました。私自身が考案した「時空」という呼吸法を皆さんと一緒にすることが多いのですが、それが楽しくてしかたがないのです。先日、長年「時空」に付き合っていただいている方に「今日の時空は殊更よかった」と言ってもらい、うれしくなりました。亀の甲より年の功ということでしょうか。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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