スキマスイッチの新曲「青春」は“フワリ”という言葉から生まれた。
「僕たちは、最初、でたらめな英語やラララで歌いながらメロディをつくっていくんです。そのサビのところで、フワリという言葉が自然に浮かびました。あのときの感じを大切にしたかった。それでできたのが『青春』です」
3年前に曲の原型が生まれたときのことをヴォーカルとギターの大橋卓弥がふり返る。
「卓弥が歌うフワリから、僕は花びらをイメージして、自分の10代を思い出しました。あんなことがあったなあ、こんなこともあったなあ、と」
とは、鍵盤の常田真太郎。
「すると、僕は中学時代の朝礼のシーンが浮かんできました」(大橋)
「僕は高校時代の放課後の土埃のグラウンドの風景がよみがえった」(常田)
こうして2人でキャッチボールをしながら、スキマスイッチは音楽をつくっていく。
「僕たちはとくに役割分担はせず、おたがいに問いかけながら音楽をつくっていきます。作詞作曲について同じ事務所のソロアーティストの、山さん(山崎まさよし)や秦(秦 基博)と話すと、やはり煮詰まることはあるそうです。その点、僕たちは1人が煮詰まってももう1人の意見に耳を傾けて、新しい発想を生んでいける。それがスキマスイッチの強みというかアドバンテージです」(大橋)
スキマスイッチの音楽には青春が色濃い。彼ら自身が年齢を重ね、キャリアを重ねてもなお、「奏(かなで)」も、「全力少年」も、そこに描かれる青春はリアルで色鮮やかだ。
「歌詞で描く物語はフィクションです。でも、曲の主人公たちには、僕たち自身の感情や体験が反映されている。だからかもしれませんね」(大橋)
2人にとってリアルな青春の思い出とはどんななのだろう――。
「まず思い出すのは小学生時代の初めての恋愛体験です。2年生のときに女の子を好きになって、彼女も僕を好きになってくれて。手をつないで学校へ通っていました。相手がちょっとませた女の子だったんですよ。でも、僕の引っ越しで会えなくなりました。胸を引き裂かれるような悲しみを初めて体験しました。3年くらいは手紙を書いたり、写真を送ったりしていたけれど、やがて連絡をとらなくなっていった。写真で見る彼女が、どんどんきれいになっていってね。でも、会うことはできない。あのときの気持ちを『青春』の歌詞にも少し反映させています」(常田)