放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「医者」について。
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みなさん、お医者さんってどうやって決めていますか? どんなにいい病院、良い医者といっても、やはり相性って大事ですよね?
10年ほど前、瞼の中に腫瘍ができて腫れてしまいました。すごく評判の良い眼科を紹介してもらい、その日に手術して取ることになりました。目に麻酔を打ちましたが、自分でも効いていないのがわかったのです。だから「まだ効いてないです」と言ったのですが、「大丈夫だよ」と、メスで僕の瞼の腫瘍を取り始めたのです。麻酔が効かずに目の腫瘍を切り取られるのは拷問です。激痛です。叫びました。すると先生は「なんだ、効いてないんだ」と言い放ったのです。そこから麻酔を増やし、手術の終わりかけに麻酔は効きました。遅いよ!
あれ以来、良い医者だろうが評判が良かろうが、自分との相性って大事だなって思ったんです。
数年前、僕は自家感作性皮膚炎という病になりました。体中に発疹ができ、右手にすごい量の発疹ができて黒く変色していく。かゆいし見た目もえぐい。元々は、おなかにベルトの鉄の部分があたっていたことがきっかけでアレルギー反応が起こり、そこをかきまくったら膿んできたのです。その直後、発疹が全身にでたんです。病院を4つ回りましたが、原因がわからず。薬だけ飲まされて、治らず。もう気持ちがどんどんめげていきました。そして5つ目の病院。話し始めたときから、その先生との相性の良さに気づきました。これまでの病状に対する聞き方が違う。
ここだと思うんですよね。僕が病状を話したときのその感触がよいと、僕の中では相性がいいと思う。その先生は「あ、そのベルトの鉄へのアレルギーが原因ですね」と、自家感作性皮膚炎と診断してくれました。おなかをかいて膿んだ傷から細菌感染などを起こしたことにより、発疹が全身に回る病気でした。それまで聞いたこともない病気。原因がわかったことで安心。どの病院でもそのベルトのくだりを話してるのに、その先生だけが、そこをキャッチして病名を診断してくれたのです。