交番が襲われた大阪府吹田市千里山霧が丘の「千里山交番」(C)朝日新聞社
交番が襲われた大阪府吹田市千里山霧が丘の「千里山交番」(C)朝日新聞社
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大阪府警が発表した逃走した犯人とされる男の映像より(C)朝日新聞社
大阪府警が発表した逃走した犯人とされる男の映像より(C)朝日新聞社

 またも襲撃は起こってしまった。

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 16日午前5時40分ごろ、大阪府吹田市千里山霧が丘の「千里山交番」の敷地内で、警察官が血を流して倒れていると通行人から通報があった。

 警察官は男に複数箇所を刺され意識不明の重体。警察官が所持していた実弾5発入りの拳銃が奪われていた。男は逃走しており、府警は強盗殺人未遂事件として吹田署に捜査本部を設置し行方を追っている。

 大阪府警によると、刺されたのは吹田署地域課の古瀬鈴之佑巡査(26)。左胸に包丁が刺さった状態で見つかった。拳銃をつなぐワイヤー製ひもの留め金具が外れた状態だった。巡査の拳銃入れは強奪防止策が強化された新型ではなく、旧型だったという。

 事件の直前、「吹田市内で、空き巣に入られた」という110番通報が入った。そこで、3人勤務していた交番から2人が出動。古瀬巡査も、しばらくして現場へ行こうと出たところを刃物で刺されたとみられている。

「通報は午前5時28分頃、阪急関大駅前近くの公衆電話からあった。現場に行ったが、まったく空き巣の痕跡はなく虚偽と判明。その直後に古瀬巡査が刺された。犯人が、虚偽の通報で交番で古瀬巡査が一人になるのを待って、出たところを刃物で襲ったとみられる」(捜査関係者)

 交番周辺の防犯カメラを調べたところ、午前4時13分から5時過ぎまで、不審な男が8回にわたって映っていた。黒いジャケット、白いTシャツ姿の30歳くらいの男だった。大阪府警はその静止画像を公開した。

「関大前駅近くでも同じような格好の男が防犯カメラに映っている。この男が事件に関与しているとみられる」(前出・捜査関係者)

 府警では、周辺各所で大量の捜査員を投入。似た男が地下鉄緑地公園駅近くのファーストフード店にいたという情報もあり、捜査をしているという。

 大阪では、来週28日、29日はG20大阪サミットが開催される。多くの警察官が警備に投入され厳戒態勢が敷かれていた。

「去年相次いだ交番襲撃がまた起こってしまった。痛恨の極みだ。拳銃奪取についても警察庁が対策を講じたにもかかわらずだ。なぜ旧型を利用し続けていたのか」(警察庁関係者)

 警察庁は他人に強奪されにくい構造や材質に改良した新型の拳銃入れを今年3月から導入。警察官の服制に関する規則や拳銃の使用・取り扱いを定めた規範を一部改正している。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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