東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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3、4月度月間MVPを獲得した巨人の坂本勇人(左)と山口俊 (c)朝日新聞社
3、4月度月間MVPを獲得した巨人の坂本勇人(左)と山口俊 (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、セ・リーグの開幕連続出塁記録を更新した巨人坂本勇人選手の強いメンタルに注目する。

【3、4月度月間MVPを獲得した巨人の坂本勇人と山口俊】

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 巨人の坂本勇人が開幕から36試合連続出塁のセ・リーグ新記録を達成した。惜しくも5月14日の阪神戦(東京ドーム)で記録は途切れたが、30試合を超えてからは、長嶋茂雄氏、王貞治氏といった球団記録、金本知憲(1997年広島)のリーグ記録更新とメディアの注目度が増す中で、第1打席で安打して早々に記録を継続していった。そのメンタル面の強さには、頭が下がる。

 記録をほしがれば、どうしても普段と違う体の動きが出てくる。毎日試合はある。いつも体と心をリセットし、フラットな状態を作り上げること。これがどれだけ難しいことか。球場が変わる、試合時間が変わる。環境に変化があっても、同じように試合に入っていく状態を作り上げてこそ、毎試合の継続につながる。

 何より今の野球は「最初」が大事である。守備、走塁での1歩目の速さはもちろんのこと、投手の初球にどう対応するか。1球目から集中力を高めて入っていけるか。そのためには、試合までの事前準備が重要となる。マリナーズを今年引退したイチローが教えてくれたことでもある。

 もちろん、丸の存在も大きいだろう。後ろにいることで、必ず坂本は勝負をしてもらえる。坂本の技術であれば、ストライクゾーンに来た球を安打ゾーンに運ぶ確率は高い。ボール球に手を出すことから打撃が崩れなければ、年間を通じていい成績を残せるはずだ。

 逆に相手からしたら、坂本と丸を2人とも封じ込めようとするのではなく、2人そろって打たれる形を作らないことだろう。どちらかを止めることができれば、1試合の中の失点を減らせる。巨人が今後も首位で引っ張っていけるかは、坂本と丸が調子を落とす期間を減らし、常に相手の脅威であり続けるか、にかかっている。そのくらい、チームの中心として2人の存在は大きい。

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