鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
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※写真はイメージです (Getty Images)
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 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。「子どもの“なんで?”」について。

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 うちの父が亡くなる前後から実家に帰ることが多くなりました。それまで会うことが少なくなっていた親戚とも顔を合わせるようになりました。

 それまでは年に2回くらいしか会えなかったうちの姉とも会う回数が増えました。姉には子どもが2人いて、下の子は17歳で、生まれたときから障がいがあります。生まれてすぐに脳の大手術。奇跡的に手術は成功しました。数年前に曲がった背骨を真っすぐにするための大手術も受けました。17歳ですが、言葉での会話はほぼできません。コミュニケーションは取れますが、僕はその甥っ子と一緒にいることも少ないため、彼の行動の一個一個で何を言いたいのか、理解するまで時間がかかったりします。上の子は20歳を超えていますが、さすが兄弟だけあって、言葉がなくとも、笑って遊んでコミュニケーションを取っています。

 うちの息子はもうすぐ4歳ですが、この甥っ子のことが大好きです。実家に帰って会えると聞くと、とても喜ぶのです。甥っ子はいつもスマホで動画などを見ています。息子は甥っ子のスマホをのぞき込み、スマホを一緒に見ようとします。それを甥っ子が邪魔したりして、トムとジェリー的な感じで喧嘩もよくしますが、とても仲がよい。会話ができなくても会話することってこういうことなんだと思ったりして。

 甥っ子は、自分の手で胸をバンバンたたくしぐさをします。先日、うちの息子が家でその甥っ子の動きのまねをしていることに気づきました。甥っ子のことをまねしてイジるとか、そういうことではなく、目の前でやっていた行動を単にまねしているだけというか。それを見て、僕はとっさに「まねしちゃダメでしょ」と言いました。甥っ子の動きをまねしたらダメだと。すると息子は聞いてきました。「なんで?」と。僕は考えます。そうだよな。なんでダメなんだろ。

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