看板学科の評価が大学のブランド力を示す時代となった。大学の顔である「至高の学科」を訪ねる。今回は同志社大学・医生命システム学科。
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関西私大の雄、同志社大で現代風の看板学科として人気を集めているのが、医生命システム学科だ。2008年にできた生命医科学部に、医工学科、医情報学科とともに設けられた。偏差値は関西私大の最難関とされる同大理工学部に匹敵する57.5(河合塾、個別日程)となっている。
生命医科学部設置の議論が始まったのは、05年。医師不足が社会の課題としてあげられており、医学に重きを置いた学部をつくることが決まった。
そんな動きのはじまりに、創設者・新島襄の切望がある。
自らが病弱であった新島は、医学教育に深い関心を寄せていた。医学部の設置を視野に入れ、1887年に同志社病院と京都看病婦学校を開院、開校したが、財政難から1906年に頓挫した。
ただ、「医学への貢献」という志向は種火のように大学に残り続けた。
1世紀ほどたって生まれたのが、生命医科学部である。なかでも医学を強く意識しているのが、この医生命システム学科だ。
高齢化社会の中で健康や病気に注目する企業などは増えている。同学科で目指すのは医学に精通した人材の育成だ。生理学や解剖学、病理学、免疫学など医学の基礎となっている学問を身につける。さらに病院などの現場で何が求められるか体得するために臨床医学、内科学、外科学などの授業も用意されている。
教員は大学外部から集められ、医師や医学博士のほか、薬剤師や薬学博士、工学博士など医学研究に欠かせない教員がいる。
野口範子学部長(医学博士)は言う。「医学部以外で基礎医学を深く広く学ぶことができる稀有(けう)な学科であると自負している」
人体を理解するための機会が設けられている。2年次の必修授業で人体解剖を1日見学。協力関係にある京都府立医科大で実際の筋肉や臓器がどうなっているかなど人の体の仕組みの説明を受ける。また選択授業で米国カリフォルニア大のアーバイン校医学部に短期留学し、人体解剖の実習などを行うプログラムもある。