海辺でほほえむご一家の笑顔に、家族の強い絆が伝わってくる。
1993年6月9日、おふたりは「結婚の儀」にのぞんだ。
皇室という、日本最古の旧家の長男として生まれた皇太子さまは、時代を象徴するような、外交官のキャリア女性を人生の伴侶として決めた。
87年に外務官僚になった雅子さまは、前年に施行された男女雇用機会均等法の第一世代。ハーバード、東大、オックスフォードという学歴に、「全力でお守りします」という「プリンス」からのプロポーズ。
外交官からプリンセスへの華麗な転身物語に、国民は酔いしれた。
しかし、皇室の伝統やしきたり、跡継ぎへの期待に対して、雅子さまは次第に、重圧を感じるようになる。
結婚11年目の2003年に、雅子さまは、「適応障害」による療養生活にはいった。
いまも雅子さまの体調に、劇的な回復はない。それでも、公務はすこしずつ増え、笑顔を見せる機会も多くなってきたと世間も感じている。
おふたりは、59歳と55歳で令和の天皇、皇后となる。
ご夫妻の歩んできた人生の深みと重みが、新たな皇室像を形づくる。
(文/本誌・永井貴子、構成/本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2019年5月3日‐10日合併号